お盆休みの事 - 静かな日々

だんだんとお盆が近づいて来たので、会社でもそんな話題が出る。
お盆と言っても、行事としてではなく、休日という扱いでのことだ。
みんな有給休暇を盆休みの前後にくっつける算段をいろいろと立てている。盆休みは八月の十二日から十六日まで。五日もあれば結構長い方だと思う。
全員が希望通りに休暇を取ってしまうと、仕事が止まってしまうので、誰かは諦めることになる。
休憩時間や手の空いたちょっとした時間があると、誰かしらカレンダーの前に立っている。八月に入ると休みを取りづらくなるので、毎年この時期は、社内がそわそわとした空気になるのだった。
仕事の進み具合が良くなるのも、多分盆休みという目標があるからなのだろう。

夕方、リンと散歩に出ると、カンダさんに会った。
カンダさんは会社帰りのようで、やはり社内でお盆休み争奪戦が行われていると言っていた。
カンダさんも参加しているのかと聞いてみたら、私はお盆じゃなくて、九月の真ん中あたりを狙っているのだという答え。

秋の初めの、だんだん涼しくなる時期に旅行に行くのが好きなのだと言っていた。
それに、お盆前後の夏に浮かれた人混みは苦手なのだそうだ。
僕もその意見には同感で、それでも夜祭りや花火大会などは好きだという天の邪鬼なのだと言ったら、人混みから離れて人混みを見るのが好きなんでしょうと言われた。

あまり考えたことはなかったが、言われてみれば確かにその通りだった。
僕はそういう感じがするのだとカンダさんは言う。それはどういう感じなのだろうと思った。