イズミヤさんの電話の事

夜、イズミヤさんから電話が掛かってきた。
曾祖父のお弟子さんだという人物だ。
お忙しいとは思いますが、一度遊びに来ませんかというお誘いの電話だった。
そういえば、彼が家に来たと祖母に言うのをすっかり忘れていた。
もうひと月ほど前のことになる。
曾祖父の絵を見せてもらうつもりだったのに、すっかり忘れてしまっていた。
イズミヤさんの家は、僕の家の最寄り駅から、電車で小一時間ほどかかるのだそうだ。
まだ予定が立てられないけれど、近いうちに必ずお邪魔させてもらいますと約束して電話を切った。


それからすぐに、祖母に電話をする。
イズミヤさんのことを話したら、すぐに、なんとかいう美術館の館長をしているはずだという答え。
家に遊びに来ないかと誘われているのだと言ったら、祖母も一緒に行きたいという。
僕が忙しいだろうから、こっちで連絡をしてみるというので、祖母に任せることにした。
基本的に、日曜祝日なら空いていると伝えておく。


それから、今度の休日にでも、土蔵の中身を虫干しがてら、曾祖父の絵などがないか見てみようと思った。