日常の事

早朝、公園でカンダさんと会ったので少し世間話。
カンダさんは、リンの母犬と兄弟の子犬を三匹連れて歩いている。一匹は、もらわれてゆく先が決まったのだという。
リンは、カンダさんの連れていた母犬に鼻面をぺろりと嘗められて、何故か目を丸くしている。その様子が可笑しかったので、二人でしばし笑う。
リンは、自分が笑われたのが分かったのか、咎めるような目で僕を見た。ごめんごめんと頭を撫でると、気を取り直したのか、兄弟としばらくじゃれあっていた。


会社に行き、いつも通り仕事をする。
特に滞りなく、残業もせずに終わる。
このところ、仕事がはかどるように思う。
帰りに書店で何冊か本を買い、リンに子犬用のビスケットを買って帰る。帰宅後に、リンと散歩に出る。
ほとんど日が沈んでいるのに、随分と暑い。
時折、思い出したように吹き抜けていく風が気持ちよかった。


夕食後、うつ伏せに寝転がり両肘を立てて本を読む。
本を読むのはほとんど習慣のようになっている。
文章を書いたりもするが、そのことをあまり人に話したことはない。
あえて話す場面がなかったからだが、取り立てて公にしたいとも思わない。
僕の書いた文章を、僕が書いたと知れない方が、物語にとっては良いような気がする。
いつの間にかリンとサカエダさんが足元でくつろいでいた。