リンの無口な事

梅雨がまだ明けていないのを主張するように、今日は朝から結構な降りだった。

今朝はさすがにリンを連れて行くのがためらわれた。
結局ひとりで傘をさしていつものコースを回った。
雨で濡れた服や靴などは鬱陶しいのだが、公園の木々は人間とは対照的で気持ちよさそうに見える。
雨はそれほど嫌いではない。

散歩から帰ると、リンが飛びついてきた。
どうやらお腹が空いたらしく、一度だけ小さく吠えた。
普段、リンはあまり吠えない。
余程こちらの注意を引きたい時や我慢のできないようなことがあった時だけ、子犬特有の高い声で一度か二度吠えるくらいだ。
犬にもお喋りなのや無口なのがいて、リンは多分無口な方なのだろう。

リンがたまに吠えるとサカエダさんは驚いた顔でリンを見る。
リンが尻尾を振って僕の周りをぐるぐると回り始めると、愉快そうにして眺めている。