夕方の散歩の話

台風が通り過ぎた影響なのか、今日もよく晴れた。
真っ青に抜けるような空が、そういえば六月はもう夏なのだと思い出させる。
リンは、毛布を敷いた寝床で仰向けになって寝ていたのだが、僕が窓の外を眺めているのに気がつくと、もぞもぞと起き出してきて、僕の足に片足を乗せて座っている。
時々僕の足に頭がコツンコツンと当たるのでどうしたのかと思ったら、ウトウトと舟を漕いでいる。犬も寝惚けるらしい。

朝から結構な暑さで、僕とリンは木陰の多い公園を一周して家に戻った。
いつものようにリンの食事の用意をしてから出勤した。

午後になるとだんだんと曇ってきて、ずいぶん涼しくなった。
ちょうど切りよく仕事が片づいたので、珍しく定時に帰路についた。
リンを連れて、夕方散歩に出掛けた。

朝とは反対の方に歩いて、川縁に出た。
水はあまり綺麗ではないが、台風の時の雨が、川のゴミなどを押し流していったようでいくらかはマシに見えた。
護岸工事をしていない川なので、鴨や水鳥が集まる。
散歩をしていると、鴨のつがいに会った。

リンは、昨日の散歩で僕の横か後ろを歩くのが決まり事だと悟ってくれたようで、今日は一度だけトカゲを追いかけて僕の前に出た時以外は、大人しく僕の隣に並んで歩いている。
時々、まるで僕が偽物に替わっていないか確認するように僕の事を見上げていた。